"3 Techniques for expert framing"を読んだ

Eigenquestions: The Art of Framing Problems という記事の中で問題を Framing するための 3つのテクニックが書かれていたのでそれをメモ。
この記事は、元 Youtube の Director や VP of Product である Shishir Mehrotraさんが書いている。

Techniques

Technique 1: Eigenquestions

Eigenquestions というのは造語で eigenvector (固有ベクトル) から来ている。
ちなみに固有ベクトルは、複数次元の空間において最も特徴を表現するようなベクトルのこと。

For a simplistic definition, the eigenquestion is the question where, if answered, it likely answers the subsequent questions as well.
(意訳) 最も単純化した eigenquestion の定義は、答えることで他の関連した問題の答えも出るような質問のことである。

このスキルを測るのに普段利用しているいくつかの質問が紹介されている。

A group of scientists have invented a teleportation device. They have come to you and asked for your assistance in bringing it to market. What do you do?
(意訳) 研究者が転送装置を発明して、自分のところに来てこれをプロダクトとして売りたいので手伝って欲しいという相談が来た。あなたならどうする?

このタイミングでは多くの人は、たくさんの質問をする。
例えば、「大きさはどれくらいか」「どれくらいのコストがかかるのか」などなど。
ここで著者は、問題を面白くするために以下のような制約を加える

It turns out these scientists are introverts and they are not enjoying all your questions. They have decided that they will only answer two questions, and from that, they expect you to give a clear go-to-market plan. What two questions would you like to ask?
(意訳) 研究者は、内向的で質問をたくさんされるのを嫌がっているため2つの質問だけに答えると言っています。そしてその質問に答えたあと明確な go-to-market plan を提案してくれることを期待しています。何を聞きますか?

ここには、正しい答えはないが1つの例としては、 - どの程度装置は安全であるか (人間にとって安全か否か) - 支配的なコストは何か (メンテナンスコストがかかるのか購入にコストがかかるのかなど)

この2つの質問は、他の多くの質問にも答えるような質問になっているので eigenquestion と言える。
この質問の答えから以下の4つの go-to-market plan を提案することができる。

このように少ない質問で様々な考えが進む質問が eigenquestion である。

Technique 2: The Power of a Great Diagram

Coda というサービス (リンクのブログは Coda のブログ) を作っているときにホワイトボードに色つきのペンで書き込んでいるときに偶然思いついたアイディアで、「色に意味を持たせることでパッと見たときにどういう状態なのかを把握できないか」というもの。

このブログでは以下の色の使い分けが紹介されていた - QUESTIONS (BLACK) - OPTIONS (BLUE) - TANGIBLE EXAMPLES (GREY or BROWN) - CALLOUTS (PURPLE) - A CHOICE (ORANGE) - A BENEFIT (GREEN) - A PROBLEM (RED)

こうすることで、以下のように一目みて状況を把握しやすくなる - 全て BLUE ならば、まだ Framing の途中 - トレードオフを判断する状態になれば初めて、GREEN や RED が書き込まれる - How を出すタイミングで ORANGE が書き込まれ始める - 良い質問になっていない場合には、BLACK に戻る - etc…

例としては以下のような感じになる

Technique 3: Framing with your Team

Framing は個人の活動である必要はない。
むしろ、共通言語をチーム内で構築する良いタイミングとなることも多い。
特に以下のようなメリットがある。 - 良いアイディアはいろんなところから生まれうる - Frame を理解した方が意思決定に入りやすい

Coda では、4つのステップでミーティングを進めている - Wallow: アイディア出しなど発散の場 - Frame: 質問や選択肢を出したりする (図を膨らませたりするのもここ) - Propose: 選択肢の中から1つ選ぶ。 - Close: 実際にアクションを実行する。

感想

全体を通して、 Framing を実践的に説明していて参考になった。
特に eigenquestion は普段意識はしているものの、言語化ができていなかったので良い言語化ができてよかった。

記事の最後には、いくつか刺さるような引用もあったりするのでぜひそこも見て欲しい。
例えば、自分が一番共感したのは

Being a good framer is about being both a great anthropologist (able to capture the details and summarize a discussion) and being a great detective (what’s the real issue here). As you’re working through an issue, keep asking “why” until you get to the root of an issue.One of the trickiest challenges is knowing if the question you’re focused on is truly the eigenquestion. One trick is to stack a list of questions and ask yourself - “if I had a clear answer to #1, would the answer to all the others be obvious?” Repeat this process until one question emerges.
(意訳) 良い Framing ができる人は、優れた人類学者(詳細を把握して議論を要約できる)であると同時に、優れた探偵(ここでの本質は何かを問うことができる)であるということです。問題に取り組んでいるときは、問題の根本に到達するまで「なぜ」と尋ね続けてください。最も難しい課題の1つは、焦点を当てている質問が本当に eigenquestion であるかどうかを知ることです。 1つの秘訣は、質問のリストを積み上げて、「#1に対する明確な答えが存在した場合、他のすべての質問の答えが出るか?」と自問することです。 1つのそういった質問が現れるまで、このプロセスを繰り返します。

余談

Shishir Mehrotraさん の書いた Youtube 時代に再設計した PdM のキャリアラダーの話も自分は普段めちゃくちゃ引用しているのでこちらもぜひ読んで欲しい。
https://www.theproductfolks.com/blog/lessons-for-product-leaders-shishir-mehrotra